人工呼吸
Online ISSN : 2436-3103
Print ISSN : 0910-9927
呼吸管理の工夫
小児の在宅人工呼吸器使用症例に対するスピーチバルブ使用の経験と気道内圧測定
松本 昇錦戸 知喜竹内 宗之
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2021 年 38 巻 1 号 p. 76-81

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抄録

 スピーチバルブ(speaking valve:SV)は気管切開チューブに装着することで発声の経験(声量の増加)やコミュニケーション能力の獲得が期待できるだけでなく、成人では唾液の誤嚥防止効果が示されているが、小児では積極的に使用されていない。今回、過去に単純気管切開を行い在宅人工呼吸器装着となり、その後徐々に呼吸器の離脱が可能となった小児3例(3~9歳)を対象に、離脱中にSVの装着を試みた。またSV装着中の気道内圧をサンプリングチューブと圧トランスデューサーを用いて評価した。今回調べた3症例では、安静呼気時に2~10cmH2Oの圧上昇を認めた。また発声量の増加以外にも気道分泌物の減少、吸引回数の低下などの副次的な効果を認め、有害事象は認めなかった。SV装着は在宅人工呼吸器を使用中の小児においても検討することが可能であり、リスクのある小児でSV装着を試す場合、気道内圧測定法を併用することでより安全に実施することができる可能性がある

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© 2021 一般社団法人 日本呼吸療法医学会
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