症例:63歳男性。急性膵炎のため他院に入院していた。膵炎は軽快していたが肺炎、急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)を併発し重篤な呼吸不全を認めたため精査加療目的で当院へ転院した。転院後より抗菌薬およびステロイドの投与を中心とした治療を行うとともに、気管挿管人工呼吸管理とした。その後も呼吸不全が進行し第6病日に静脈-静脈体外式膜型人工肺(veno-venous extracorporeal membrane oxygenation:V-V ECMO)を導入した。ECMO管理下での治療で病状は改善傾向にあったが、経過中に胸部X線およびCTで著明な胸水貯留像を認めた。胸水穿刺の結果より血胸と診断した。ECMO管理下でのドレナージ治療はリスクが高いと判断し第20病日にECMOを離脱した。その後にドレナージ治療を行い血胸は改善した。
結語:本症例はECMO管理中に重篤な特発性の血胸を併発するも、ECMOを離脱しドレナージ治療を行うことで救命および社会復帰することができた。