日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
ランチョンセミナー1
急性呼吸不全の診断・治療の新展開
井上 洋西山内 広平小林 仁桜井 滋谷藤 幸夫伊藤 晴方黒田 晋加藤 さくら斎藤 小豊呉 徳男中舘 俊英吉田 聡井上 千恵子吉田 匠
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 10 巻 2 号 p. 199-201

詳細
抄録

急性呼吸不全においては,対症的療法とともに,根治的な療法がとられることが望ましい.前者としては,ステロイド剤の投与群が上げられるが,原因の異なる急性呼吸不全の対症療法については,いまだ一定の見解が得られておらず,施設や個人の経験や勘に頼っているのが現状である.今回は,第1に喘息の急性増悪時の高度の気道閉塞による換気障害,第2にインフルエンザウイルスによる気管支・肺胞障害,第3に酸吸入による気管支・肺胞障害を取り上げ,あるべき治療法につき検討し,以下の結論を得たので報告する.<br>1. 喘息が急性増悪時の急性呼吸不全の新しい治療<br> %PEFが40~50%台の入院治療を必要とする喘息発作の治療として,短期高用量プレドニン療法は従来の中用量プレドニン療法に比較してきわめて有用と考えられる.<br>2. インフルエンザによる急性呼吸不全の治療<br> インフルエンザ肺炎によりARDSを呈した急性呼吸不全の治療として,ステロイド療法は有用と考えられる.<br>3. Mendelson症候群における急性呼吸不全の治療<br> 胃液の逆流による急性呼吸不全(Mendelson syndrome)の治療として,臨床経験からも動物も出るにおける検討からも,ステロイド療法の有用性が認められた.

著者関連情報
© 2000 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top