2005 年 14 巻 3 号 p. 454-457
当院における呼吸器疾患末期の対応の現状と緩和医療について検討した.対象は当院呼吸器内科に入院し死亡した2年間の201名.疾患の内訳,悪性疾患と非悪性疾患における人工呼吸管理(MV),蘇生禁止(DNR),鎮静・鎮痛剤持続皮下注射(CSI)および終末期鎮静(ターミナル・セデーション)の実施数を比較検討した.非悪性疾患死亡者のDNR指示率は,悪性疾患と同様に高率であった.慢性呼吸器疾患死亡者のMV/NPPVを受けた数は少なかった.慢性呼吸不全患者の病状の進行とMVに対する患者意識調査では患者の意識はさまざまであり,医療者と患者間との事前の密なコミュニケーションの重要性をうかがわせた.