2005 年 14 巻 3 号 p. 500-502
高位頸髄損傷患者は,横隔膜麻痺を伴った場合,人工呼吸器からの離脱が困難とされている.また頸部呼吸補助筋群のみ使用の場合,離脱時間は数時間から日中離脱が限度とされている.今回,C3損傷で横隔膜麻痺を伴い四肢麻痺を呈していた症例に対し,受傷後早期より人工呼吸器よりの離脱を目的とした呼吸理学療法を実施した.第195病日に日中離脱可能,第235病日に胸部X線所見にて横隔膜回復が確認され,第306病日に終日離脱可能となった.高位頸髄損傷においても,長期的な横隔膜麻痺回復および肺活量の変化に注意し,離脱の可能性を模索することが大切であると思われた.