日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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イブニングセミナーⅣ
在宅酸素施行患者の喫煙対策
坪井 永保
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キーワード: HOT, 喫煙, 火災事故
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2006 年 15 巻 3 号 p. 397-401

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抄録

1985年に在宅酸素療法(HOT)が保険適応になってから,今年で21年を迎える.現在,わが国でHOTを行っている患者は約10万人と推定されており,年々増え続けている.

HOT導入の際には,患者および家族に対する教育が必須である.HOT導入時の教育項目には,①HOTの意義,②機器の取り扱い,③酸素吸入流量,吸入時間,④火気の取り扱い,⑤緊急時の連絡法などがある.HOT患者が喫煙するということは,原疾患の憎悪につながるばかりでなく火災事故の危険性があるため厳禁である.禁煙の守れない患者には,HOTの導入を見送らなければならない場合もある.患者教育のなかでも禁煙指導は非常に重要である.

1999年の米国のJohns Hopkins大学の調査ではHOT患者の4割以上が喫煙者であり,同大学病院では1990~1997年に21人のHOT患者が在宅での酸素吸入中の喫煙による火傷で入院したと報告している.

わが国においても,HOTを行っている患者の喫煙による火災の報告が散見される.

HOT患者の喫煙による火災事故を防ぐには,導入時の患者教育が重要である.本講演では,患者教育の際に用いる酸素の支燃性実験の結果や,安全に使用するためのポイントを紹介する.

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© 2006 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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