日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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急性増悪時の患者アセスメント
─医師のアセスメントと治療戦略─
上川路 信博
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2007 年 17 巻 2 号 p. 114-118

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抄録

慢性呼吸不全の急性増悪時には,基礎疾患の把握,安定していた状態と現在の状態,急性増悪の原因などのアセスメントを行う必要がある.慢性呼吸不全の基礎疾患には肺気腫,慢性気管支炎,肺結核後遺症,肺線維症,気管支拡張症,塵肺などがある.それぞれに呼吸不全のメカニズムが異なり,その治療戦略も異なるためその把握は重要である.また,現在の状態を理解するためには以前の安定期の状態を把握する必要がある.急性増悪の原因は,気道感染によるものが最も多く,その他,心不全,喘息合併例における気道攣縮,気胸などがある.治療戦略としては,酸素療法,非侵襲的陽圧換気療法,侵襲的人工呼吸療法,薬物療法などがある.当院では,約200名の在宅酸素療法を実施している慢性呼吸不全の患者さんを管理しており,平均して患者一人につき年1,2回の急性増悪による入院がある.自験例を踏まえながら,多岐にわたるアセスメントの項目のなかでキーとなる項目について議論し,最近の治療の進歩を中心に治療戦略についてまとめた.

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© 2007 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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