2008 年 18 巻 2 号 p. 172-176
今回,われわれは慢性呼吸不全患者7例に対し,酸素ボンベを手引きカートで引く歩行(手引き歩行)と歩行車に搭載する歩行(歩行車歩行)との2条件において,運動耐容能および呼吸器系反応を比較しその効果を検討した.その結果,歩行車歩行による6分間歩行距離(6-minute walking distance;6MWD)が,手引き歩行171.7±69.4 mに対し,280.0±80.9 mと有意(p<0.01)に増加した.また,SpO2,心拍数,呼吸数といった呼吸器系反応についても負担が軽減され,ボルグスケールで示される主観的な息切れ感についても全例で改善が認められた.
これらの結果から,歩行車の使用は,慢性呼吸不全患者の運動耐容能低下や歩行時息切れ感の改善に有効と考えられた.