2009 年 19 巻 2 号 p. 96-98
わが国の看護師の結核発病リスクはその他の職業よりも約4倍高いとされており,検査技師,解剖従事者は看護師以上にリスクが高いとされている.医療現場での結核感染の増加には,塗抹陽性高齢者結核患者の増加,若い医療従事者の大半が結核未感染,結核診断の遅れ,気密性の高い施設構造,気管内挿管やネブライザーなどの処置の増加などが関与している.結核の院内感染を防止するには,結核菌の感染成立の連鎖を念頭に置いて,結核患者の早期発見と隔離,患者のマスク着用,咳エチケット,病院内での十分な換気,必要に応じた紫外線殺菌灯の設置,細菌検査室での安全キャビネット,必要な場面でのN-95マスクの着用,クォンティフェロンTB,胸部X線撮影などを用いた医療従事者の健康管理,などの総合的な対策が必要である.