抄録
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療においては包括的管理が重要であり,日常生活における活動性の維持が大きな課題の一つである.そのためには,増悪による入院など,入院回数を減少させることが重要である.今回,当院におけるCOPD入院症例の入院理由について明らかにし,さらに嚥下造影検査施行例の所見を検討した.COPD患者の入院理由としては,COPDの増悪(34%)・肺炎(29%)が多く,さらに肺炎症例においては,誤嚥性肺炎と考えられるまたは疑われる症例が42%を占めていた.さらに,嚥下造影を施行した3例では,いずれもVF上の異常は軽度であったが,誤嚥性肺炎を発症した.COPD患者の誤嚥性肺炎発症のリスク評価には,VFのみでは十分とはいえない可能性が示唆された.