日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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21 巻, 1 号
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シンポジウムⅣ
ワークショップⅠ
原著
  • 穂苅 諭, 中山 秀章, 梶原 大季, 鈴木 涼子, 大嶋 康義, 高田 俊範, 鈴木 栄一, 成田 一衛
    原稿種別: 原著
    2011 年 21 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    目的:呼吸機能低下患者での術後ハイリスク群を検討した.対象:術前呼吸機能検査で1秒量<1.2 Lを満たした80例.方法:術後呼吸不全の発生について診療録より後ろ向きに調査した.結果:7例で合併症が発生した.多因子より算出した呼吸不全リスク指数は合併症群で有意に高値であった.また,同リスク指数と合併症発生頻度の間に有意な傾向性が認められた.結論:呼吸不全リスク指数は術後呼吸不全の検出に有用である.
  • 川島 彬子, 前野 敏孝, 西原 冬実, 山本 悦子, 金澤 實
    原稿種別: 原著
    2011 年 21 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療においては包括的管理が重要であり,日常生活における活動性の維持が大きな課題の一つである.そのためには,増悪による入院など,入院回数を減少させることが重要である.今回,当院におけるCOPD入院症例の入院理由について明らかにし,さらに嚥下造影検査施行例の所見を検討した.COPD患者の入院理由としては,COPDの増悪(34%)・肺炎(29%)が多く,さらに肺炎症例においては,誤嚥性肺炎と考えられるまたは疑われる症例が42%を占めていた.さらに,嚥下造影を施行した3例では,いずれもVF上の異常は軽度であったが,誤嚥性肺炎を発症した.COPD患者の誤嚥性肺炎発症のリスク評価には,VFのみでは十分とはいえない可能性が示唆された.
  • ─京都桂病院での5年間の経験─
    安井 まや, 西村 浩一, 清水 香代, 細沼 美紀, 清水 麻美, 宮﨑 博子, 西村 尚志, 東 正徳, 吉田 博徳, 塙 健
    原稿種別: 原著
    2011 年 21 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    京都桂病院では,2002年12月以後COPD急性増悪による入院患者に対して,急性期呼吸リハビリテーション(以下呼吸リハビリ)を実施してきた.5年6ヵ月の間に,159人の患者による269件の入院において,急性期呼吸リハビリが実施された.開始と終了時の千住らのADLスコアは33±20と61±23,6分間歩行距離は194±140 mと276±140 mであった.これは,呼吸リハビリ単独の効果ではなく,包括的治療によってもたらされたものであるが,ADLが改善し運動量を増大する傾向はあった.
  • 横山 仁志, 渡邉 陽介, 武市 梨絵, 横山 有里, 石阪 姿子, 堅田 紘頌, 武市 尚也
    原稿種別: 原著
    2011 年 21 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,長期人工呼吸器装着患者における機能回復の推移を明らかにすることである.対象は長期人工呼吸器管理患者10例(64±10歳)である.これらにリハビリテーション(以下,リハ)を実施し,下肢筋力と移動能力の回復を調査した.開始時の下肢筋力(中央値)は,0.20 kgf/kgと顕著な低下を認め,全例立位・室内伝い歩きレベルであった.開始4週時,最終時の下肢筋力は,順に0.31,0.40 kgf/kgと有意な増加を認め(χ2=20.0,p<0.05),移動能力も経過とともに良好な改善を認めた(χ2=30.6,p<0.05).しかし,大部分の症例において下肢筋力は,良好な回復を認めたものの健常平均値までの回復は得られず,また,病前移動能力への回復が困難な症例が存在していた.以上のことから長期人工呼吸器装着患者のリハにおける機能回復の推移が明らかとなるとともに,運動機能やADLの低下予防,ならびに低下した機能を早期に回復するためのさらなる方策の必要性が示唆された.
研究報告
  • ─体験型DVDオリエンテーションの導入─
    増居 洋介, 杉田 要, 山口 良恵, 垣添 慎二, 渡部 雅人, 末原 伸泰, 光山 昌珠
    原稿種別: 研究報告
    2011 年 21 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    食道癌術後の呼吸器合併症予防を目的に,術前体験型DVDオリエンテーション(OR)を導入した.【対象と方法】対象:胸腔鏡下食道癌手術患者56例(non-OR群:OR非実施31例,OR群:OR実施25例).OR後に,理学療法士と情報交換をして連携と継続を図った.【結果】対象背景に差を認めたが,歩行開始日は有意に減少(non-OR群3.8±1.2日対OR群2.7±0.9日(P<0.001)),呼吸器合併症は減少する傾向(non-OR群8例対OR群4例(n.s.))を示した.【結語】多職種と連携したORにより,早期離床が円滑に行える可能性が示唆された.
総説
  • 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 山田 公子, 武藤 直将, 本間 光信, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 総説
    2011 年 21 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    包括的呼吸リハビリテーションの効果の一端が,栄養療法による体重増加と運動療法が骨格筋機能を回復させ運動耐容能の改善を得ることだとすれば,病院や地域における医療チームの指導を受けた後,在宅でいかに栄養療法と運動療法を継続させるかが重要である.栄養障害のある慢性閉塞性肺疾患患者において栄養療法と運動療法を併用して継続することは,筋肉量増加による体重増加や運動耐容能の向上に有用と考えられる.
  • ─医師の立場から─
    花岡 正幸
    原稿種別: 総説
    2011 年 21 巻 1 号 p. 62-63
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2016/07/05
    ジャーナル フリー
    実地臨床における禁煙治療の現状と課題を,①バレニクリンの登場,②禁煙治療終了後のフォロー,③禁煙不成功例に対する対処,④精神疾患患者への治療の4項目に絞って考えてみた.バレニクリンの登場により禁煙成功率が高まった半面,ニコチン依存症管理料という保険診療の縛りは避けて通れない.精神疾患患者への禁煙治療も難しい問題をはらんでいる.課題もみえてきたなかで,最も重要なのはすべての医療従事者が喫煙問題に関心をもつことである.
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