抄録
トレッドミルを用いた6分間定速歩行負荷試験(TMWT)は再現性に優れ,歩行中の低酸素状態(desaturation)を正確に捉えることが可能であると報告されている.今回われわれは,TMWTでの評価項目を立案し,得られる情報を主成分分析により圧縮し,評価の有用性を検討した.第1主成分に寄与するのはSpO2(経皮的酸素飽和度)面積,SpO2回復面積,SpO2最低値,回復時間であった.第2主成分は安静時SpO2,修正Borg指数であり,第3主成分は,歩行速度であった.TMWTは歩行時のdesaturationをはじめさまざまな評価ができ,治療効果判定のみならず患者指導にも応用できることがわかった.