日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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受賞報告
慢性閉塞性肺疾患でみられる経過中の体重減少に関する因子の検討とその対策についての研究
菅原 慶勇高橋 仁美柏倉 剛本間 光信塩谷 隆信
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2012 年 22 巻 3 号 p. 264-270

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抄録
栄養状態はCOPDの症状,障害,予後の重要な決定因子であることから,当院で低強度運動を継続中の安定期COPD患者を対象とした経過中の体重減少に関する因子と栄養補給療法の上乗せ効果について報告する.呼吸リハ通院中の89例について体重減少に関する因子を重回帰分析した結果,体重の変化率は,FFMIと摂取タンパク質量の変化率が有意な正の回帰関係を,IL-8の変化率が有意な負の回帰関係をもった.また,栄養補給を追加することで上乗せ効果を認めるか否か,%IBW<110%36名を対象に無作為に補給群とcontrol群に分類し,介入前と3ヵ月後の諸項目の変化率を比較した結果,補給群において体重,タンパク質摂取量,6MWD,WBI,CRQが有意に増加し,MRCと炎症マーカーが有意に低下した.以上より,%IBW<110%の安定期COPD患者に対する栄養補給と低強度運動の組合せが,上乗せ効果として全身性炎症を抑制し運動耐容能と健康関連QOLを改善する可能性が示された.
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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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