日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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シンポジウムIV
低肺機能肺がん患者に対する外科治療の進歩
──術式の工夫,周術期管理と呼吸ケア──
関根 康雄黄 英哲有村 健長谷川 瑞江桂 秀樹
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2012 年 22 巻 3 号 p. 309-312

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抄録
COPDなどの低肺機能患者からの肺癌発症率は正常肺機能者と比較して高い.そのため低肺機能患者に対する手術術式の選択,周術期管理は非常に重要な問題である.周術期の呼吸状態は時間とともに変化し,特に術後6時間から4日目にかけて酸素化能(AaDO2)が低下する.その時期が最も肺炎などの呼吸器合併症を起こしやすい時期であり,それをいかに乗り越えるかが課題である.低肺機能患者・喀痰排出量の多い患者に対しては,積極的に計画的呼吸リハビリテーションを行うことが重要であり,それにより呼吸器合併症の低下だけでなく,酸素投与の短縮・在院日数の減少が得られる.また,気管支拡張剤の積極的使用が,肺機能やQOLの維持に非常に有用である.低肺機能患者に対する術式も工夫が必要である.stage Iの肺癌患者であれば,区域切除の一つの選択肢であり,根治性を損なわずに肺機能を温存することも可能である.
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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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