抄録
肺がん患者は,咳・喀痰・血痰などの呼吸器症状を伴った呼吸困難,胸壁への浸潤,胸水貯留,上大静脈の圧迫,縦隔リンパへの浸潤などによる呼吸困難を体験する.また治療による間質性肺炎,びまん性肺胞障害,放射線肺臓炎などのリスクも高く,約8割が呼吸困難を自覚する.肺がん患者が,がん治療を受けながらも安全・安楽に生活できるよう,がん治療による有害反応のセルフモニタリング・ケアができるよう,医療チームメンバーが協働して支援していくことが望まれる.薬物療法を受ける肺がん患者をトータルにアセスメントすること,患者とゴールを共有することが重要である.患者が治療と社会生活を両立できることを目標に,治療を受けることで予測される有害反応,呼吸困難の原因や病態,患者の日常生活への影響をアセスメントし,呼吸困難を緩和していく方法を患者とともに考えるような関わりが看護に求められている.