抄録
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺気腫型と非肺気腫型のフェノタイプにおける長時間作用型気管支拡張薬の治療効果について検討した.
チオトロピウムあるいはサルメテロールによって治療されたCOPD患者72名に対し呼吸機能,動的肺過膨張,6分間歩行試験,St. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)を評価し,胸部CTにて肺気腫型と非肺気腫型のフェノタイプに分類し効果を解析した.
チオトロピウムは両フェノタイプにおいて気流制限,酸素化,呼吸インピーダンスを,肺気腫型において動的肺過膨張,6分間歩行距離,SGRQを改善させた.サルメテロールは肺気腫型においてSGRQを改善させたのみであった.
これらの所見はチオトロピウムがサルメテロールより気流制限に対する効果が高いこと,肺気腫型において動的肺過膨張を改善させ運動耐容能,健康関連QOLの改善をもたらすことを示唆している.