抄録
平成22年(2010年)4月の診療報酬改定で呼吸ケアチーム加算が新設された.当院では加算開始前の2004年から呼吸ケアチーム回診を実施しており,加算開始後の問題点を明らかにするために,当院で加算を開始した2010年5月7日から2010年9月17日までの呼吸ケア回診対象者の背景,加算の有無,予後を調査した.さらに呼吸ケアチーム回診の医療安全における効果を確認するために,2001年度から2011年度9月までの当院の人工呼吸関連インシデント報告の経年推移調査を行った.当院はベッド数520の救急病院である.加算開始後の上記期間における加算対象者は27名,加算対象外であるが回診を要した患者が16名いた.延べ187回診中60回が加算対象であった.一般床における1日当たりの人工呼吸患者数は16(14-20)名で,そのうち回診対象患者数は10(7-12)名,加算対象者は3(1-11)名であった.加算対象者で人工呼吸離脱できた患者は7名(26%),離脱できた患者の一般床での平均人工呼吸装着日数は19.1日であった.19.1日という平均装着日数からは加算期間(一般床で週1回1ヵ月間)は妥当と考えられた.しかし人工呼吸離脱率は26%にすぎず,離脱不能で1ヵ月を超えた場合と加算対象外の場合の救済策が課題と考えられた.当院においては呼吸ケアチーム回診導入後緩やかに人工呼吸関連インシデントが減少しており,呼吸ケアチーム回診は一定の効果を上げていると考えられた.