抄録
吸入療法は,喘息やCOPDの基本治療として位置づけられ,関連死の減少やQOLの向上に多大な貢献をしてきた.各種ガイドラインで吸入薬の使用が推奨され,処方量が増加し,喘息死の減少に結びついていることは望ましい結果である.しかし,吸入薬は内服薬に比べると使い方による効果や副作用に差が生じやすく,処方するだけで治療成績が向上するものではない.適切な吸入指導が必須である.
そこで,2002年から医療従事者向けに指導のポイントを県内各地域で講習し,吸入手技の標準化に努めてきた.最近は,標準的な吸入指導の講習会に加え,講習会で質問された内容のQ&A集を用いたポイント解説や,間違った吸入手技の実演を通して,指導のポイントを確認するDVDを作成するなど,より実践的な講習会となるよう工夫している.これまでの取り組みから今後の吸入指導を考える.