抄録
当院では,1998年からチーム医療による包括的呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)を実施してきた.在宅でのプログラムを開発し,継続させることに力を入れ,「座ってできるCOPD体操」を主体とした低強度運動療法や栄養補助食品を用いた栄養療法に関して,これまで多くの臨床研究を行い,その効果について国内外に発信してきている.
これまでの取り組みで,低強度運動療法を主体とした呼吸リハは,在宅での継続実施に有効であり,呼吸困難,運動耐容能,健康関連QOLにおいて効果が認められ,安定期COPD患者の有用な治療戦略になりうると報告してきた.また,低強度運動療法と栄養補給療法の組み合わせは,全身性炎症を抑制し,運動耐容能,健康関連QOLを改善させる可能性も示唆されることを発表した.
近年,呼吸リハは市民権が得られてきているが,その普及はまだまだ不十分である.今後もさらに呼吸リハを充実させ,普及させていきたいと考えている.