抄録
超高齢社会を迎えた日本では,呼吸器疾患患者の多くが高齢者であり,疾患の治癒と同時にケアの重要性が増している.そのなかで,肺炎は,20年間死亡者が増え続けているが,その多くは誤嚥性肺炎であり,その疾患概念の確立と診断,治療法の開発が必要である.われわれは,誤嚥性肺炎の病因として,夜間睡眠中の微量誤嚥が重要性を示し,その嚥下障害の診断法の一つとして仰臥位で行う,嚥下誘発試験,2段階簡易嚥下誘発試験を開発した.治療として,狭域のペニシリン系抗菌薬の有効性と嚥下反射を改善する薬剤の臨床効果を明らかにした.また,口腔ケア,嚥下リハビリテーションの重要性を示し,呼吸ケアとリハビリテーションの融合が不可欠であることを提唱した.これらは日本呼吸器学会の肺炎診療ガイドラインに反映された.基礎研究としては,レポーター遺伝子の発現による誤嚥と気道内へのウイルス侵入を視覚化する新しい誤嚥性肺炎のモデルマウスを開発した.