抄録
症例は30歳代の男性.午前8時に突然の胸痛があり,近医で左自然気胸と診断された.自宅安静にて様子をみていたが同日夕方より左胸部痛が増強し,当院へ救急受診して胸腔ドレナージを施行された.胸部CTでは両側肺尖部にブラを認め,また気漏の改善がなく,発症12日後に胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した.閉創時より筋硬直・頻脈・発熱を認め,悪性高熱症と診断してダントロレンナトリウム投与とクーリングを開始し,抜管せずに鎮静下に集中治療室に帰室となった.第22病日に呼吸器離脱,27病日より呼吸理学療法を開始し,30病日には呼吸状態の改善により一般病棟へ転棟.第42病日に退院となった.積極的な呼吸理学療法の関与によって退院まで順調に回復した.