抄録
神経筋疾患の非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation; NPPV)の覚醒時インターフェイスとして,マウスピースを活用した.マウスピース使用経験のある17名を対象に,導入と中止など使用状況を調査し,マウスピースの利点と問題点について検討した.導入は,覚醒時NPPVが必要になった時期であった.中止は,疾患進行によってマウスピースを使いこなすための体幹や頸部の運動機能や口唇の力が低下してきた時期で鼻プラグなどに変更した.マウスピースの利点は,視野が広く皮膚への侵襲がなく,自身でマウスピースをくわえたり離したりすることで,NPPVの開始と中断を自由にコントロールできることである.このため,NPPVの合間に飲食や会話がしやすい.しかし,マウスピースを口元から離しているときに低圧アラームを制御する工夫を要する.マウスピースによるNPPVは,適応や導入時期,使用方法により有効活用が可能である.