日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
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24 巻 , 2 号
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シンポジウムI
  • 富井 啓介, 蝶名林 直彦
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 145
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 永田 一真, 松本 健, 大塚 今日子, 中川 淳, 大塚 浩二郎, 瀬尾 龍太郎, 渥美 生弘, 有吉 孝一, 富井 啓介
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 146-150
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    さまざまな病態の急性呼吸不全に対する非侵襲的換気(NIV)の有効性が示され,救急現場においてNIVは非常に高い頻度で用いられるようになってきている.当院でも2004年よりICU外においても本格的に導入し,急性呼吸不全患者の院内死亡率の低下が得られている.NIVはその簡便性と迅速性から,救急現場において特に有益性が高く,酸素投与のみで不十分な呼吸不全には,疾患,病態にかかわらず禁忌がなければまずNIVをトライしてよいと考えられる.また近年導入されたネーザルハイフローについてはエビデンスがほとんどないものの,その利便性および快適さゆえに使用される頻度がますます高まっている.当院でも2012年6月より導入し60例を超える急性呼吸不全に対して使用しており有効性を実感している.しかしその位置づけはまだ明確に定まっておらず長所と短所を十分考慮しながら使用する必要がある.
  • 立川 良, 陳 和夫, 富井 啓介, 三嶋 理晃
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    急性呼吸不全に対するNPPVのエビデンスが確立された病態は,COPD急性増悪・心原性肺水腫・免疫不全患者の呼吸不全などに限定される.しかし,NPPVの普及に伴い,それ以外の種々の病態にもしばしばNPPVは用いられており,その有用性が実感される場合も少なくない.これらについて,その経験や方法を幅広く共有し,各施設の知識や経験に還元することが,さらなるNPPV療法の普及に重要と考えられる.本報告では,NPPVのエビデンスがまだ少ない領域として,間質性肺炎の急性増悪におけるNPPVの役割,NPPVと鎮静の併用の是非とその方法,肝移植術後におけるNPPVの使用経験などを紹介する.
  • 仁多 寅彦, 西村 直樹, 蝶名林 直彦
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    非侵襲的換気療法(noninvasive ventilation: NIV)は臨床現場に普及しているが肺炎による呼吸不全に対しての使用実態についての報告は限られている.今回われわれは肺炎に対するNIVの使用状況を調査・検討した.2011年6月から2012年5月に当院にて人工呼吸管理を行った肺炎患者の患者背景,肺炎重症度と転帰を後ろ向きに検討した.対象患者は46人で気管挿管による管理(invasive ventilation: IV)を開始したのは26名(IV群),NIVで開始したのは20名(NIV群)であった.肺炎の重症度は両群間で有意差はなかったが,人工呼吸開始時のPaO2/FiO2比はIV群で有意に低かった.転帰は,IV群では8名(31%)が死亡,NIV群は2名(10%)が死亡した.NIV群のうちNIV開始前に行ったインフォームドコンセントで,13名(65%)の患者はIVを希望しなかったがNIVによる呼吸管理は希望した.NIVの普及に伴い肺炎という治癒の見込める良性疾患であってもNIVまでの呼吸管理を希望する患者が少なからず存在することが明らかになった.
  • 西山 理, 東田 有智
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    急性呼吸促迫症候群(ARDS)に対する非侵襲的換気(NIV)療法は,現時点では有効性が確立された治療法とはいいがたい.しかし,ARDSに対し非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)で呼吸管理を開始して,それが継続可能であった症例では明らかに予後が良いことが示されているし,軽症ARDSでは有効性が期待できるとする報告もある.NPPVに慣れた施設において,十分モニタリングが可能な環境下で行うことが前提ではあるが,PaO2/FiO2が200~300のmild ARDSがNPPVの良い適応ではないかと考える.初期の重症度スコア(SAPS Ⅱ>34など)とNPPV装着後の反応(装着1時間後のPaO2/FiO2≦175など)も十分に考慮し,NPPVの適応と継続を決定することが必要である.そして,通常の人工呼吸管理のストラテジーのなかには,低容量換気法など有効性が十分確立されたものもあるため,NPPVにより状態が十分改善しない場合には,挿管による人工呼吸管理への移行が遅れることのないように常に注意を払うことが重要である.
シンポジウムIII
  • 宮本 顕二, 吉澤 孝之
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 166
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 有田 健一
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    終末期の医療選択においては患者の意思を尊重することが求められる.しかし患者は自分の願いや考えを明らかにすることには疎く,またみずからの発言によって周囲の人々を困惑させることは望まないことが多い.さらに終末期にはかなりの患者が正確な判断を下すことができない状態となる.したがって自分の考えを伝えられなくなったときに備えて,事前に希望や思いを家族や医療者との話し合いのなかで伝えておくことは大切である.とはいえ事前指示は状況によって変化しやすく,また親世代は自分の行く末を暗黙の期待下に子供世代へ託すことも多く,本邦ではこうした取り組みの広がりは乏しい.医師は今後に備えて“患者の意思を医療選択に生かす文化”の創生を指導すべきである.広島県地域保健対策協議会は医師と患者の対話を増やすなかで患者の価値観や希望を把握することを目指してアドバンス・ケア・プランニングを勧める事業を開始した.この取り組みが広がれば患者の意向を尊重した医療の提供や,終末期・看取りの場での倫理的な課題の克服につながりうる.医療の人生設計に沿った尊厳ある終焉を迎える環境整備が進むことに期待したい.
  • 高橋 典明, 佐藤 良博, 清水 哲男, 橋本 修
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    肺がんにおける緩和ケアは他のがんと基本的に同じである.ただし,肺がんはがんのなかでも予後が不良で,他のがんよりも疼痛ばかりでなく咳や呼吸困難などの呼吸器症状が伴いやすい.そのため病名告知されるだけでも精神的負担は特に強い.したがって,肺がんにおいて身体的,精神的,社会的およびスピリチュアルな苦痛に対する緩和ケアはきわめて重要であり,早期から緩和ケアを実施することは肺がん患者の延命にもつながる重要な要素である.
    肺がん終末期の身体的苦痛として呼吸困難の頻度は高く,臨床的に問題となることも多い.呼吸困難の治療は原因病態に対する治療が第一であるが,複数の原因が絡み合い難治性で不可逆的なことも多い.その呼吸困難に対する薬物治療としてモルヒネは第一選択とされ,日本緩和医療学会の「呼吸器症状の緩和に対するガイドライン」でも推奨されている.しかし,その有効性については一定の見解は得られていないのが実情である.そのことを踏まえて,肺がん終末期医療の実情について,呼吸困難に対するモルヒネ投与を例にとって検討し,さらに非がん性呼吸器疾患に対する終末期医療との比較についても述べる.
  • 坪井 知正
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 179-181
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    終末期の問題,特に生き死にに関しての問題は,アメリカならアメリカなりの,西欧なら西欧なりの,東欧なら東欧なりの,中東なら中東なりの,アジアならアジアなりの,日本なら日本なりの死生観や文化的背景を十分考慮して対応する必要がある.しかも,個々人ごとにていねいに対応する必要がある.そのためのキーワードは明らかに有意差を証明できる医学的エビデンスと患者・家族・医療者間の相談と合意形成である.相談における医療者のアドバイスは非常に重要となる.無理強いしてはいけない,実現可能でなければならない,継続できなければならない,これらを満たした医療方針が選択されることが望ましい.完璧を目指してはいけない.みんなが納得できる合意に綱渡り的でよいからつなげていくプロセスを目指すべきである.人間は必ず死んでいく存在であるから,この終末期の問題に関して,国民や司法がもっと寛容であってほしい.
  • 岩城 基, 吉澤 孝之, 吉澤 明孝, 橋本 修
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    慢性呼吸器疾患の終末期におけるリハビリテーション(以下リハビリ)は普及しつつあるが,その目標やゴールの設定,適応と限界などについては明らかでない点も多い.病状が安定している時期には運動耐容能やADLの維持改善といった目標設定が可能であるが,病状の進行とともにADLの低下や症状の増悪が顕著になれば,廃用の予防や進行防止と並行して症状緩和を主体としたプログラムへのスムーズな修正が求められる.呼吸状態や症状の詳細な評価,ゴール設定の修正を頻回に行うことなどでいかにQOLを維持するかが重要となる.また,リハビリは医療者と患者の良いコミュニケーションの場であり,終末期ケアについての情報提供や患者・家族の思いを医療チーム側に吸い上げる場としても活用できると考える.
  • 鹿渡 登史子, 杉田 美佐子, 橋本 修
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 185
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    近年の医療体制は,医療機関が機能分担し連携して,良質の切れ目のない医療を効率的に提供し,できるだけ短期間に在宅および地域に帰す地域完結型を目指して経済誘導されている.その結果急性期病院の平均在院期間はどんどん短縮し,早すぎる退院と受入側機関との医療機能の落差により,急激な治療方針の転換を迫られる事態が起きている.急性増悪で緊急入院となった終末期慢性呼吸器疾患患者を,長期に受け入れる病院や介護施設はきわめて少なく,患者・家族の選択肢は入院継続か,仕方がなく退院となるケースをよく経験する.
    このような状況にあって,さまざまな規制のなかで施設を利用する慢性呼吸器疾患患者が,最後までその人らしく過ごせることに取り組む,ある老人福祉施設を紹介したい.慢性呼吸器疾患患者の終末期ケアでは,医療・介護側が患者の意思・希望を尊重し,その達成に向けて柔軟に対応する姿勢と工夫が,この難局の突破口となるのではないかと示唆された.
  • 宮本 顕二, 宮本 礼子
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 186-190
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国では終末期の高齢者が経口摂取困難になると経管栄養(胃ろう)や経静脈栄養などの人工栄養を行うことが多い.しかし,筆者らが現地調査したスウェーデン,オランダ,オーストラリアではそれらは行われず,アメリカ,オーストリア,スペインでもまれにしか行われていなかった.これらの国では高齢者が終末期に食べられなくなることは自然なことであり,人工栄養で延命を図ることは倫理的でないと考えられている.
シンポジウムIV
  • 氏家 良人, 玉木 彰
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 191
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 長谷川 隆一
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 192-196
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    ICU患者のアウトカムは,従来の救命を優先する評価から患者のQOLやADLの維持といった満足度を優先する評価に変化しつつある.それに伴い医原性合併症を減らす動きが盛んになり,いくつかのケアを組み合わせたバンドル・アプローチが導入された.「ABCDEバンドル」は①A;awakening(覚醒),②B;breathing(自発呼吸),③C;coordination(AとBの組み合わせ)and choice of drugs(薬剤選択),④D;delirium monitoring(せん妄モニタリング),⑤E;early mobilization and exercise(早期離床と運動療法)を推奨対策としており,せん妄やICU acquired weaknessの予防効果が期待されている.医師はチームのリーダーとして,ABCDEバンドルの実践でリーダーシップを発揮するなど,積極的な関与が求められる.
  • 前田 靖子
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    医原性リスク低減戦略対策を組み合わせたABCDEバンドルが,近年,医療の質の向上と安全のリスク軽減を期待して導入されつつある.ABCDEバンドルの実施において,医療スタッフ間で共通認識するためには,適切な鎮静モニタリングやせん妄モニタリングに有用であり,かつ,客観的に評価が可能なアセスメントツールが必要である.2007年12月に日本呼吸療法医学会より発表された「人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン」において,鎮静スケールのRASSとせん妄の評価のCAM-ICUが推奨されている.今回,76施設の現状調査結果から,RASSについては周知されている現状がうかがえたが,CAM-ICUについては,導入している施設はわずかであった.これまで,早期離床や早期リハビリテーションは看護レベルでもすでに実践され,医療チームで取り組んできている施設は多い.最初に,ABCDEバンドルの認知度を高めることが必要であることが示唆された.
  • 山下 康次
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 202-206
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    従来の人工呼吸管理を見直し,近年は過鎮静を避け,患者の自立した日常生活を早期に取り戻す取り組みが推奨されている.早期の自立した活動を導くためには,新しい人工呼吸管理の指針「ABCDE bundle」の実践が必要となるが,これらbundleを構成するケアは,決して単独で行われるのではなく同時進行で取り組むことが望ましい.ABCDE bundleを実践することにより,短期結果ばかりでなく身体・精神的な長期的予後も改善される,と報告されている.さらに,これらをより確実にするためには,理学療法士のみならず看護師・作業療法士など多職種が,共通認識をもち連携し安全で積極的に協働で実践することが望ましい.本稿では,理学療法士としてどのようにABCDE bundleにかかわり実践するかを論じさせていただく.
  • 石川 朗, 沖 侑大郎
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    ABCDEバンドルは,患者を1日に一度覚醒(Awakening)させ,自発呼吸(Breathing)を維持し,適切な鎮静薬を調整・選択し(Coordination,Choice),せん妄のモニタリング(Delirium monitoring/management)を行い,早期に理学療法を実施(Early mobility and Exercise)するという,重症患者のICU管理を前提としている.
    しかし,この概念は急性期から慢性期,集中治療から在宅医療まで共通すると思われる.慢性期・在宅医療におけるABCDEバンドルは,A(Awakening):日中の覚醒時間の延長,B(Breathing):呼吸練習,C(Coordination・Choice):適切な向精神薬・睡眠薬の処方調整・選択,D(Dementia monitoring・Dysphagia rehabilitation・Disuse syndrome):認知症の評価,摂食・嚥下リハビリテーション・廃用症候群の評価,E(Early mobility and Exercise)早期離床・理学療法介入と考えられる.この慢性期・在宅医療においてABCDEバンドルを積極的に導入することにより,NHCAPの予防,死亡率の低下,認識能力の改善,ADL能力の改善,医療費の抑制の可能性があると予想される.
シンポジウムVI
  • 谷口 博之, 藤島 清太郎
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 213
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 林 伸一
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 214-218
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は1967年に初めて報告され,統一診断基準であるAECC基準が1994年に作られた後,さまざまな治療の多施設無作為比較試験(RCT)が行われた.しかし有効性が認められている治療は,低一回換気量による保護的人工換気のみである.そしてAECC基準の問題点を改善したベルリン定義が2012年に発表された.この改訂の最大のポイントは,酸素化の程度で重症度が3つに区分されたことである.今後は重症度に応じた治療選択が期待される.また将来のARDSの治療展開において,画像やバイオマーカーなど病状を詳細に「評価」する手段,治療方法の「改善」,そして複数の治療法の「連携」が重要である.ARDSに対する決定的な治療法が確立されていないなかで,死亡率は年々徐々に低下してきており,これは集中治療看護,理学療法,栄養管理などがうまく連携した結果であると思われる.
  • 小谷 透
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 219
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 藤島 清太郎
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 220-227
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    急性呼吸促迫症候群(ARDS)は,種々の原因や基礎傷病に続発して急性に発症する非心原性肺水腫であり,2012年には新たな定義が公表された.
    画像診断に関し,Berlin定義では,より詳細な両肺野浸潤影の確認が求められており,最終的に明記はされなかったものの,CTによる評価を推奨している.CTは心原性肺水腫を初めとする類縁疾患との鑑別にも有用であり,診断上必須の検査といえる.他の画像検査として,最近超音波検査が注目されているが,いまだ発展途上で有用性は確立されておらず,今後の検証が必要である.
    一方,ARDSのバイオマーカーとしては,サイトカイン/ケモカイン,可溶性接着分子,好中球由来物質,凝固・線溶系因子DAMPsなど,さまざまな物質が報告されている.しかし,臨床の場で長期予後や重症度,治療反応性の予測に活用しうるまでにはいたっていないのが現状である.
  • 阿部 信二
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 228-232
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome: ARDS)はその発症頻度や致死率が高いにもかかわらず,これまで有効な治療法,特に生命予後を改善しうるような薬物療法の報告はない.本稿ではARDSに対する近年の大規模無作為臨床試験の結果および,現在,臨床試験が進行・計画中の薬物療法についてまとめる.また今後期待される治療法の一つとしてポリミキシンB固定化線維(PMX)カラムによる血液浄化療法を取り上げる.ARDSと同様に病理組織学的にびまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage: DAD)を呈する特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)の急性増悪に対して酸素化や予後の改善などの有効性が報告されており,厚生労働省先進医療の認定を受けている.
  • 神津 玲, 及川 真人, 花田 匡利, 矢野 雄大, 関野 元裕, 槇田 徹次, 千住 秀明
    原稿種別: シンポジウム
    2014 年 24 巻 2 号 p. 233-236
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    理学療法は,換気および酸素化の改善,呼吸仕事量の軽減を直接的な目的として,体位管理,気道クリアランス法,運動と離床などによって構成される.ARDSを対象とする場合には,補助治療に位置づけられ,不均等換気の是正,貯留する気道分泌物の誘導排出,虚脱肺胞領域の拡張を図ることによって,酸素化を改善させることを主な目的とする.また早期からの積極的な運動と離床も適用し,日常生活活動の早期獲得を図ることも必要不可欠である.
教育講演VI
  • 塩谷 隆信, 佐竹 將宏, 照井 佳乃, 佐藤 瑞騎, 岩倉 正浩, 大倉 和貴, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美
    原稿種別: 教育講演
    2014 年 24 巻 2 号 p. 237-245
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    身体活動とは,日常生活活動と運動を合わせたものである.身体活動は,安静レベル以上のエネルギー消費にいたる骨格筋の活動によってもたらされるすべての身体的の動きであり,運動,家事や仕事などあらゆる活動が含まれる.
    COPD患者では軽症であっても日常生活における身体活動が低下しており,身体活動は生存率とも深く関連していることが明らかになってきている.呼吸リハビリによる身体活動の向上に向けては,種目内容,運動強度・頻度,教育内容,実施期間などを明示したうえで,それぞれ具体的に実施されなければならない.3軸加速度計を用いた評価法の有用性が報告されているが,より簡便で客観的な評価方法の確立が望まれる.
    COPD患者においては十分な薬物療法を行い同時に呼吸リハビリが実施されなければならない.今後,このような呼吸リハビリが普及することにより,COPDにおける身体活動が大きく向上し,ひいては健康関連QOLと生存率の改善につながることが期待される.
原著
  • 岡島 聡, 東本 有司, 本田 憲胤, 前田 和成, 白石 匡, 杉谷 竜司, 山縣 俊之, 西山 理, 東田 有智, 福田 寛二
    原稿種別: 原著
    2014 年 24 巻 2 号 p. 246-251
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景と目的】慢性呼吸器疾患患者の日常生活訓練を実施する際,指導を正しく理解できないことや,自身の動作に固執することをしばしば経験する.慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者で前頭葉機能が低下していると報告はあるが,間質性肺炎(以下IP)患者の報告はない.そこで,IP患者を対象に前頭葉機能を検討し,COPD患者やコントロール患者と比較した.【対象と方法】当院で入院や外来通院しているIP患者20名,COPD患者48名,コントロール患者12名を対象とした.前頭葉機能検査はFrontal Assessment Battery(以下FAB)を用いて検討した.【結果】FAB合計点数はコントロール群(16.8±1.3点)と比較して,IP群(14.2±1.7点),COPD群(14.5±1.7点)ともに低値であった.FAB項目のなかでは,類似性,語の流暢性課題がIP群,COPD群ともに低値で,GO/NO-GO課題はCOPD群で低値であった.【結語】COPD患者と同様に,IP患者の前頭葉機能は低下していた.項目別でも,IP患者とCOPD患者の低下パターンは類似していた.
  • 田平 一行, 原田 鉄也, 山本 純志郎, 岡田 哲明, 前村 優子, 山本 みさき
    原稿種別: 原著
    2014 年 24 巻 2 号 p. 252-257
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    高強度の定常負荷試験(CLT)で得られる運動持続時間は,漸増負荷試験(ILT)から得られる最高酸素摂取量等よりも呼吸リハビリなどの介入効果の反応性が良いとされ,近年運動耐容能の指標として頻繁に用いられている.CLTの臨床的な有用性は明らかにされているが,その運動生理学的特徴は明らかになっていない.今回,高強度CLTとILTを行い,運動終了時の生理学的指標について酸素摂取量の視点から比較した.その結果,仕事率はILTのほうが高かったが,酸素摂取量,分時換気量,心拍数,自覚症状には差を認めなかった.血圧はILTのほうが高く,下肢筋の酸素消費はCLTのほうが高かった.CLTは外的な運動強度(仕事率)は低いが,内的な運動強度(酸素摂取量)はILTと同程度である負荷試験であることが確認された.またILTは循環系の負担の大きい試験であり,CLTは下肢筋の酸素利用を反映しやすい試験であることが示唆された.
  • 髙橋 佑太, 川島 拓馬, 廣田 千香, 木村 雅彦, 関根 一真, 原田 尚子, 宮尾 直樹
    原稿種別: 原著
    2014 年 24 巻 2 号 p. 258-262
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動耐容能評価である漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)は一般に呼吸困難が主要な制限因子と考えられているが,下肢筋力や運動機能の低下によって歩行能力が低下している場合には,漸増するISWTの速度が各患者の最大歩行速度(MWS)に達して終了すると考えられることから,ISWT到達歩行速度とMWSの比(ISWT/MWS)が,ISWTの運動制限因子を反映するか否かを検討した.【方法】安定期COPD患者30例を対象とし,臨床的背景因子,呼吸機能,ISWTの距離,⊿Borg scale,⊿SpO2およびMWSを測定した.【結果】ISWT/MWSはGOLDステージ1から順に101%,97%,82%,86%であり,呼吸機能と有意な相関を,⊿ Borg scaleとは一定の傾向を認めた.【考察】ISWT/MWSはCOPDの病態ならびにISWTの制限因子を反映する.
  • 高尾 聡, 浅居 悦子, 小松 優子, 桑原 陽子, 福田 珠里, 山根 主信, 多門 大介, 吉田 直之, 工藤 翔二, 上武 智樹, 加 ...
    原稿種別: 原著
    2014 年 24 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)では携帯用酸素ボンベの使用時間を延長させるために,呼吸同調装置を併用して吸気時に酸素供給を行う同調式が一般的である.しかし,院内で使用される医療用酸素ボンベのような吸気,呼気に関係なく酸素が供給される連続式と比較すると,経皮的酸素飽和度(SpO2)の値が同調式で低くなることを経験する.今回,慢性呼吸器疾患患者20名に対し,携帯用酸素ボンベを使用しての6分間歩行試験(6 minutes walking test: 6MWT)を連続式と同調式で行った.その結果,同一酸素流量においてSpO2の平均値・最頻値・最高値・最低値が同調式で有意に低かった.HOTを処方する際には,呼吸同調装置を取り付けた携帯用酸素ボンベを用いたうえで労作時のSpO2の測定および酸素流量の設定を行うことが望ましい.
  • 大倉 和貴, 甲斐 学, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2014 年 24 巻 2 号 p. 268-274
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究は,高負荷圧の吸気筋トレーニング(IMT)が,若年競泳選手のパフォーマンス向上へ及ぼす効果について検証することを目的とした.【方法】大学水泳部員の男子24名を,高負荷IMT群(High群)と低負荷対照群(Low群)へ無作為に振り分け,普段の競泳の練習に併せてIMTを8週間行った.IMT開始前と開始4週後,開始8週後に呼吸機能,呼吸筋力,吸気筋耐久力,運動耐容能,競技タイムトライアル(クロール)の測定を行った.【結果】High群では呼気筋力,吸気筋力,吸気筋耐久力,運動耐容能,100 m,400 mのタイムに,Low群では吸気筋力と吸気筋耐久力にのみ有意な向上がみられた.吸気筋力,吸気筋耐久力はいずれもHigh群でより増加した.【結論】IMTは若年競泳選手において競泳の練習と併用することで,パフォーマンス向上へ付加的要素となる可能性が示唆された.
  • 高田 学, 竹内 伸太郎, 石川 悠加
    原稿種別: 原著
    2014 年 24 巻 2 号 p. 275-280
    発行日: 2014/08/31
    公開日: 2015/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation; NPPV)のインターフェイスの一つとして鼻プラグがある.神経筋疾患のNPPVにおける鼻プラグ活用状況を調査し,現状と課題について検討した.神経筋疾患において,日中覚醒時のNPPVや終日NPPVに鼻プラグを使用することは,視野の広さや飲食と会話のしやすさ,皮膚トラブルの回避などの利点があった.患者ごとに顔面や頭部の形状などの特徴が異なるため,多くの製品から最もフィットするものを選択する必要があった.これは,鼻プラグの多くが欧米の製品であり,日本に多い顔の形には適合しにくいことが要因と考えられた.また,現在本邦で入手可能な鼻プラグのなかにノンベントの製品はなく,ノンベントで使用するために加工をする必要があった.日本に多い顔の形に適合しやすい製品やノンベントの製品がないことが課題であった.
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