抄録
慢性呼吸器疾患の終末期におけるリハビリテーション(以下リハビリ)は普及しつつあるが,その目標やゴールの設定,適応と限界などについては明らかでない点も多い.病状が安定している時期には運動耐容能やADLの維持改善といった目標設定が可能であるが,病状の進行とともにADLの低下や症状の増悪が顕著になれば,廃用の予防や進行防止と並行して症状緩和を主体としたプログラムへのスムーズな修正が求められる.呼吸状態や症状の詳細な評価,ゴール設定の修正を頻回に行うことなどでいかにQOLを維持するかが重要となる.また,リハビリは医療者と患者の良いコミュニケーションの場であり,終末期ケアについての情報提供や患者・家族の思いを医療チーム側に吸い上げる場としても活用できると考える.