抄録
【背景】慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動耐容能評価である漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)は一般に呼吸困難が主要な制限因子と考えられているが,下肢筋力や運動機能の低下によって歩行能力が低下している場合には,漸増するISWTの速度が各患者の最大歩行速度(MWS)に達して終了すると考えられることから,ISWT到達歩行速度とMWSの比(ISWT/MWS)が,ISWTの運動制限因子を反映するか否かを検討した.【方法】安定期COPD患者30例を対象とし,臨床的背景因子,呼吸機能,ISWTの距離,⊿Borg scale,⊿SpO2およびMWSを測定した.【結果】ISWT/MWSはGOLDステージ1から順に101%,97%,82%,86%であり,呼吸機能と有意な相関を,⊿ Borg scaleとは一定の傾向を認めた.【考察】ISWT/MWSはCOPDの病態ならびにISWTの制限因子を反映する.