抄録
高齢化社会では高齢慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者が多く,遠方から通院する場合には通院手段や家族の援助などの問題があり,従来報告されている週2回の通院リハビリテーションが困難な症例がいるのが現状である.今回,遠方のため週2回の通院理学療法が困難であった高齢COPD患者に対して入院中に非監視型運動を指導し,退院後は月1回の医師外来受診後に理学療法評価指導を行った.非監視型運動の内容は上肢の筋力練習,全身運動として20分の歩行練習とした.退院後12ヶ月再入院せず,退院月よりも12ヶ月後の1日平均歩数・平均身体活動指数・6分間歩行距離・大腿四頭筋筋力・握力が向上した.通院手段などの制限により週2回の通院が困難なCOPD患者においても,非監視型運動療法の継続と定期的な評価指導が身体機能の向上に有用である可能性が示唆された.