日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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研究報告
理学療法士による呼吸リハビリテーションの術前外来1回指導効果の検討
末久 弘中田 英二杉原 進介岩田 織江崎田 秀範冨永 律子重見 篤史河本 宏昭上野 剛澤田 茂樹山下 素弘
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2015 年 25 巻 1 号 p. 114-117

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抄録
当院では2012年7月から,理学療法士による呼吸器外科手術症例に対する呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)を術前後に行っている.肺炎や無気肺の術後呼吸器合併症が軽減できたかどうかを検討した.2010年9月~2011年6月の介入なし群と2012年7月~2013年4月の介入あり群を比較した.2011年7月~2012年6月の術後のみ介入の時期は除いた.介入なし群202例,介入あり群205例.男女比,年齢,喫煙歴や呼吸器疾患に偏りはなかった.原疾患や術式も偏りはなかった.術後合併症は,介入なし群29例(14.4%),介入あり群31例(15.1%)でほぼ同等であった.そのうち肺炎や無気肺は介入なし群7例,介入あり群6例で両群に有意な差は認められなかった.開胸術症例に絞って検討すると,肺炎・無気肺患者の割合は増加していたが,両群間に有意差は認めなかった.理学療法士による呼吸リハの介入では,肺炎や無気肺の術後呼吸器合併症は軽減できていなかった.今後,開胸術等のハイリスク患者に対してより積極的な介入を導入する方針である.
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© 2015 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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