抄録
本研究の目的は,PT・OT・ST養成校の吸引行為の卒前教育の実態を明らかにし,吸引に関する卒前教育の「必要な教育」について検討することである.調査は国内477校に対しアンケート調査を実施し,217校から回答を得た.結果より,吸引教育を導入していない養成校が少なからず存在しており,全ての養成校における吸引教育の導入について検討する必要性が示唆された.卒前吸引教育の標準的な指向性については,“基礎的知識の獲得と学内における吸引実技実習の経験レベル”と考えられた.吸引教育の基礎項目と到達レベルは,吸引を実施する際のアセスメントに対応した基礎知識,呼吸状態の観察と吸引に伴う合併症や感染予防の知識,および緊急時の対処法を基礎項目と考え,それらの項目について“理解する”レベルまでを到達することが望ましいと考えられた.