抄録
肥満と閉塞型睡眠時無呼吸 (obstructive sleep apnea: OSA) の関係は,従来肥満からOSAへの一方向と考えられたが,近年は双方向であることが示唆されている.ともに死亡,心血管障害,癌などの予後と関連し,最近は肥満低換気症候群に関する日本の頻度も発表され,注目されている.両者の病態では慢性全身性炎症が重要で,OSAでは気道炎症の存在も指摘される.OSAと肥満は,メタボリックシンドロームと関係し,睡眠時間はその重要な交絡因子である.OSAの主要治療はCPAPであるが,肥満のある場合,減量は,CPAPで乏しい全身性炎症低下効果がみられたり,CPAPとの併用で代謝指標に相加的な効果を認めたり,減量の重要性が示されている.減量には,食事,運動,カウンセリングを中心とした行動療法,薬物療法,外科療法があげられるが,現実には行動療法主体で,今後薬物療法や外科療法の展開が期待される.