抄録
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の危険因子は身体活動性であり,管理中の身体活動性低下症例では生存率が有意に低下する.したがって,身体活動性の維持・改善は,COPD管理において極めて重要である.COPD患者に対する身体活動性の標準的測定法は確立していないが,3軸加速度計を用いた評価が奨められる.また,再現性あるデータの抽出には,雨天,休日,平均気温が2.5℃未満あるいは27℃を超す日を除外し,3日間のデータを抽出することが推奨される.健常者に比べCOPD患者では活動時間が有意に短縮し,≥3.0 METsでは健常者の約5割,≥3.5 METsでは約7割も短縮している.気管支拡張薬や呼吸リハビリテーションの身体活動性に対する効果についてはまだ結論が得られていないが,改善を示す報告も多い.身体活動性維持・向上のためには,低強度でも,継続性のある運動療法について検討していくことも重要と思われる.