抄録
【背景】最大歩行速度(MWS)は,歩行能力の評価指標としてだけでなく,高齢者の予後予測指標としても有用であり,健常者では下肢筋力やバランス能力の影響を受ける.一方,COPD患者のMWSの規定因子は明らかでなく,呼吸機能低下や呼吸困難が影響するとの報告が散見される.本研究では,COPD患者のMWSについて,身体機能を含めた規定因子の検討とCOPDの予後予測指標との関連を検討した.【方法】対象はCOPD患者40例とし,BMI,mMRC,%FEV1,膝伸展筋力,片脚立位時間,MWS,6分間歩行距離,BODE index,ADO indexを評価した.【結果】重回帰分析の結果,MWSの規定因子にmMRCと片脚立位時間が抽出された.MWSはBODE,ADO indexと有意な相関を認めた.【考察】COPD患者のMWSは呼吸器症状と身体機能低下の影響を受け,予後予測指標としても有用である可能性が示された.