日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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原著
咳嗽診療における呼気中NOとモストグラフの有用性の検討
市川 裕久永井 仁志森 規子横内 美和子日高 ゆかり菊池 宏荒川 裕佳子森 由弘
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2015 年 25 巻 2 号 p. 253-257

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抄録
【はじめに】遷延性・慢性咳嗽の原因疾患として喘息・咳喘息の頻度は高いが,日常診療において診断に苦慮する場合があり,有力な補助診断が求められている.【方法】2012年4月から2013年2月までに遷延性・慢性咳嗽を主訴に来院し,画像上,肺野に異常を認めず,呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)とモストグラフを測定した45人について後ろ向きに検討した.【成績】平均年齢は54歳,男性20人,女性25人.喘息・咳喘息と診断した患者は34人,その他は11人.喘息・咳喘息患者34人の平均FeNO値は48.1でその他の患者の13.6より有意に(p<0.01)高値であった.モストグラフのデータでは,R5,R20,R5-R20,X5で有意差を認め,これらについてROC曲線を作成したところ,R5のAUCが0.791と最も良好で,cut off値は2.91であった.両者を組み合わせることにより陽性尤度比5.2と良好な診断特性が得られた.
【結論】FeNOとモストグラフは遷延性・慢性咳嗽患者の診断において有力な補助診断法と考えられた.
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© 2015 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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