COPDの併存は虚血性心疾患の死亡リスクの増加に関連している一方で,軽症から中等症のCOPDは潜在的なリスクのまま見過ごされていることが多い.今回,60歳以上の虚血性心疾患患者177例を対象に潜在的なCOPDの併存率を調査し,COPD併存群と非併存群の比較を行った.潜在的なCOPD併存率は21.5%であり,9割以上が軽症および中等症であった.また,COPD併存群は非併存群に比べ,血管弾性と運動耐容能が有意に低下しており,これらがCOPDの併存が虚血性心疾患の予後を悪化させる一因と考えられる.虚血性心疾患患者においては,COPDの併存を疑い科科連携を図ること,両疾患に重要である運動療法や患者教育などのリハビリテーションを積極的に行う必要性が高いと思われる.