抄録
本研究の目的は,中高齢者の随意的咳嗽力に関連する因子を検討することである.対象は中高齢者16名であった.咳嗽力に関連する予測因子は,年齢,胸郭拡張差,最長発声持続時間(MPT),口腔湿潤度,呼吸機能,呼吸筋力とした.咳嗽力の指標である咳嗽時最大呼気流速(CPF)と各予測因子を測定し,それぞれの相関分析を行った.CPFと関連を認めたのは,年齢,MPT,呼吸機能,呼吸筋力であった.咳嗽力は,加齢の影響を受ける可能性が示唆された.呼吸機能や呼吸筋力は,咳嗽メカニズムの第2相(吸気)と第4相(呼出)に,MPTは第3相(圧縮)に関連すると考えられた.