日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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コーヒーブレイクセミナーⅥ
鼻腔高流量酸素療法
――急性期から在宅まで――
奥田みゆき田中 順哉野原 隆司濃添 建男石原 澄子奥田 好成井上ゆかり川原 紀臣宮田 啓吾熊田 孝夫
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2015 年 25 巻 3 号 p. 361-366

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抄録
Nasal High-Flow Oxygen Therapy System(NHF-OTS)は非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation;NPPV)と比較して,インターフェイスがさらに非侵襲的であるため,さまざまな病態に使用できる可能性が高い.呼吸生理学的にも,適切な加温・加湿と高流量酸素療法であることの様々な利点が報告されている.本稿では,NHF-OTSが免疫不全患者の日和見感染症による急性Ⅰ型呼吸不全に有用であった症例と,認知症の合併などでNPPVが継続不能であった,慢性Ⅱ型呼吸不全患者の高二酸化炭素血症を長期在宅管理している2症例を報告する.NHF-OTSは非常に有用なデバイスであるが,Ⅱ型呼吸不全に対するエビデンスはまだ乏しい.そのため患者に関わるすべての医療従事者が,その利点と欠点を認識する必要がある.われわれは,河北循環器呼吸ケア研究会を開催し,情報共有ツールとして呼吸管理地域連携パスを作成することで,安全にNHF-OTSが実施できる院内から在宅までの学際的チーム医療の構築を進めている.
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© 2015 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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