抄録
【背景と目的】当院では肺切除予定患者に対して,術前待機期間に外来にて理学療法と強化栄養療法を併用する包括的呼吸リハビリテーションを,多職種相互関係チームアプローチにて実践してきた.今回,サルコペニアを背景とする患者に対する本法の有効性を評価した.
【対象と方法】2006年~2014年において肺癌に対する肺葉切除施行例のうち,「70歳以上で体重が標準体重の90%未満」であった33例を対象とし,本法施行群(11例)と非施行群(22例)で,術後合併症発生について比較した.
【結果】施行群の27.3%,非施行群の72.7%に術後合併症が認められた(p=0.024).多変量ロジスティック解析にて,本法は術後合併症発生率と有意に関連する独立した因子であった(p=0.049).
【まとめ】サルコペニアを背景とする肺切除患者において,本法は術後合併症発生率を減少させる臨床的に有用な取り組みである事が示唆された.