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栗本 俊明, 宇佐美 郁治, 大塚 義紀, 岸本 卓巳, 徳山 猛, 福家 聡, 宮本 顯二
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
44-49
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
日常臨床において,携帯型パルスオキシメータで6分間歩行試験(6-minute walk test; 6MWT)中の経皮的動脈血酸素飽和度(SpO
2)を測定し,歩行中の低酸素血症を評価するようになったが,パルスオキシメータは体動の影響で「誤表示」する場合がある.そこで本研究では,高齢健常者19名と呼吸器疾患患者23名を対象にして,歩行中の体動がSpO
2測定に及ぼす影響を検討した.6MWTは通常通り両上肢を振って歩く場合と,パルスオキシメータをつけた上肢を三角帯で動かさないように歩く場合の2通りで行い,歩行中のSpO
2と脈拍数を連続測定した.解析は各歩行間の測定値差を歩行開始から1秒毎に求め,6分間の平均値を被験者毎に算出した.平均SpO
2の差が±2%,平均脈拍数の差が±5 bpmを超えた場合を「誤表示」と判定した.SpO
2値と脈拍数の「誤表示」は,それぞれ高齢健常者の21%と42%,呼吸器疾患患者の17%と57%に認めた.以上より,通常通り6MWTを行うと体動の影響でSpO
2値が「誤表示」する場合があり,歩行中の値の解釈には注意が必要と考えられた.
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田中 孝美, 源川 奈央子, 守田 美奈子, 長谷川 智子, 淺川 久美子
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
50-56
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【目的】慢性呼吸器疾患看護認定看護師の活動の現状,職務満足度,支援状況の関連を明らかにすること.
【研究方法】2014年8月に日本看護協会HPで氏名公表していた慢性呼吸器疾患看護認定看護師152名に,2014年8月~9月,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した.
【結果】回収率84.2%.専任が3.1%と少なく,活動時間が勤務時間の10%未満の者は約4割で,時間確保に苦慮していた.所属施設内および地域社会の活動状況への満足度は低く,満足群,非満足群で有意差が認められたのは[認定看護師としての活動時間][施設内ラウンド実施][薬剤師との連携][学会発表]の4項目であった.
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―多施設共同前向き研究―
菅原 慶勇, 高橋 仁美, 笠井 千景, 柏倉 剛, 大山 久仁子, 山田 公子, 佐藤 綾己, 本間 光信, 津田 徹, 武田 博明, 河 ...
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
57-63
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【目的】抗炎症作用を示すホエイペプチド配合流動食摂取の有用性を,低強度運動を行っている安定期COPD患者で検証した.
【対象】2011年~2013年に,霧ヶ丘つだ病院,済生会山形済生病院,公立浜坂病院,市立秋田総合病院で,本試験の同意を得た36例を対象とした.
【方法】医療機関毎に,封筒法による単純無作為化で,ホエイペプチド配合流動食を摂取する群と,一般組成流動食を摂取する群の2群に割付け,12週間摂取した後で,試験介入前後に施行した諸評価の変化率を比較検討した.
【結果】両群間の変化率に有意差は認められず,栄養補給の介入効果を示すにとどまった.体重の変化率とhsCRPの変化率には有意な負の相関関係を認めた.
【考察】食事指導のみでは,摂取エネルギー量を増やすことが難しい,低強度の運動が日常可能な安定期COPD患者に対して,市販流動食を通常食に追加することの有用性は高く,栄養補給療法は,現状の医療環境下では有効な治療選択の一つであると考える.
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―臥床期間を考慮した検討―
都築 宏正, 増田 一基, 門田 詩織, 畑野 光, 木口 大輔, 田内 秀樹, 中西 徳彦
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
64-68
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
AECODP(COPD急性増悪)患者に対する呼吸理学療法の効果と臥床期間が与える影響について検討した.対象はAECOPD入院患者25例とした.調査項目はBMI,mMRC,呼吸機能検査,握力,下肢筋力,SWT(shuttle walking test),NRADL(Nagasaki University respiratory activities of daily living questionnaire)とし,初期評価時と退院時で比較した.また,入院から呼吸理学療法開始までの臥床期間を,中央値未満の「早期群」と中央値以上の「臥床群」に大別し,退院時の各調査項目と入院時の血液ガス分析の値,感染症の有無,人工呼吸器管理の有無,入院期間で比較した.初期評価時と退院時の比較ではmMRC,下肢筋力,SWT,NRADLで有意な改善を認めた.臥床期間の比較では,「早期群」は「臥床群」に対し退院時の握力と下肢筋力,SWTが有意に高値であり,BMIは標準値との差異が有意に低値であった.また,「臥床群」は,高い割合で感染症と人工呼吸器管理が認められ,入院期間は「臥床群」が有意に長期間であった.AECOPD後の呼吸理学療法は有効であり,人工呼吸器管理を施行された場合でも,呼吸理学療法の早期介入を考慮すべきと考えられた.
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瀬崎 学, 星 力央, 杉原 聖子, 小池 直人, 後藤 なおみ, 石川 大輔, 影向 晃, 平田 明, 牧野 真人, 木下 秀則
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
69-72
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
人工呼吸器管理下のARDS症例に対して,バンドルケア導入前後の成績を比較し,その効果を検討した.
【対象と方法】研究期間は2010年5月から2015年5月,対象はこの間に当院ICUにて人工呼吸器管理となったARDS症例のうち,入院前独歩可能であった77症例とした.2013年7月より,ABCDEバンドルを元に,当院でも施行できるよう調整したバンドルケアを使用した.
【結果】バンドルケア導入前例は28例,導入後例は49例であった.バンドルケア導入前後での両群間の,人工呼吸器開始時年齢・性別・PF ratio・FiO
2・APACHE2スコア等において有意差はみられなかった.人工呼吸器離脱期間は,バンドルケア導入後群で有意に短縮され(前20.3日 vs 後11.5日,p<0.05),死亡率においても導入後群では有意な低下を認めた(前42.9% vs 後14.3%,p<0.01).
【考察】バンドルケア導入後に,人工呼吸器離脱期間短縮や死亡率の低下傾向がみられ,ARDS症例に対しても一定の効果があると考えられた.
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宇津木 光克, 松崎 晋一, 蜂巣 克昌, 矢冨 正清, 久田 剛志, 山田 正信, 土橋 邦生, 丸田 栄
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
73-77
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
チオトロピウムとインダカテロールを併用している慢性閉塞性肺疾患症例を対象として,グルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更による有用性を検討した.対象症例は16例,平均年齢は72.9歳,FEV
1は1.31±0.43 L,%FEV
1は49.2±12.9%であった.薬剤変更後4週,12週とも肺機能検査では変化を認めなかったが,薬剤変更後12週でのCATは有意に改善した.またデバイスの嗜好性においては,各手技,吸入手技の自信,吸入の継続性に対して,ハンディヘラー
®と比較しブリーズヘラー
®の嗜好性が高かった.以上のことからチオトロピウムとインダカテロール併用からグルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更は,合剤のメリットであるアドヒアランスの向上だけでなく,QOLの改善効果,さらには吸入デバイスに対する嗜好性から吸入の快適さも向上させうることが示唆された.
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江田 清一郎, 藤本 圭作, 花岡 正幸, 久保 惠嗣
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
78-84
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【背景】全国と同様に,長野県でも,在宅気管切開下人工呼吸(以下TPPV)に加え,1998年から非侵襲的陽圧人工呼吸(以下NPPV)が普及したが,これら在宅人工呼吸療法(以下HMV)の実態は明らかにされていない.そこで,2015年度にHMVの実態調査を実施し,療養改善に繋がる課題を探索した.
【方法】県内HMVプロバイダーに,患者数・地域調査を,医療機関・訪問看護ステーション・介護施設にアンケート郵送法による調査を行った.
【結果】2015年2月の長野県内HMV数は,NPPVが310例,TPPVは151例であった.NPPVの対象疾患としては心不全が増加傾向であり,TPPVの対象疾患としては神経筋疾患,脳症を多く認めた.訪問看護ステーションでは,NPPVの対象疾患として,COPD,心不全,肺結核後遺症を多く認めた.患者・家族支援ネットワーク形成の進行は認めたが,HMV可能と回答が得られた介護施設は,43施設中3施設のみで,不可と回答した施設の理由として,「安全対策・電源対策への不安」が半数を占めていた.病院・訪問看護ステーションでは,「病診連携・医看連携・患者共有」不足が大きな問題であった.
【考察】介護・看護上の課題は多く,支援に結びつく登録・ケアシステムを検討し,HMVケアを十分に受けられる環境を整備する必要がある.
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山本 加奈子, 谷本 高男, 香川 智正, 岡村 綾, 松下 祥子, 大久保 寿々子, 川滝 美佳, 小玉 篤, 横澤 悠貴
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
85-89
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
本研究は,口腔ケアマニュアル(以下マニュアル)の作成・導入・普及により,看護師の口腔ケア技術の向上と,その成果として入院患者の誤嚥性肺炎発生率の低下が見られるかどうかを評価した.3年間のRST活動により,看護師の口腔ケアに関する意識・知識・技術項目の自己評価は有意に向上し,口腔ケアに悩みを持つ看護師の減少が図れた.また,マニュアル導入前後の入院患者の誤嚥性肺炎発生率は,32.1%から10.2%へと減少した.マニュアルを活用したRST活動を継続したことは,院内の口腔ケアを標準化するだけでなく,定期的な患者評価を適時適切に実施する機会となり,統一した口腔ケア技術の向上に伴い,誤嚥性肺炎患者の減少につながったと考える.患者が繰り返し誤嚥性肺炎を発症しないために,今後は看護師のケア技術の向上だけでなく,患者の全身機能維持・増進を支援するための教育的介入も,チームで取り組むことが課題と考えられる.
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岩波 裕治, 五十嵐 愛, 内 昌之, 杉野 圭史, 本間 栄, 海老原 覚
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
90-95
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
慢性安定期の間質性肺炎患者に対する呼吸リハビリテーション介入研究(Toho Rehabilitation for Interstitial Pneumonia study: TRIP study)において,外来呼吸リハビリテーション(外来呼吸リハ)通院選択への阻害因子を検討した.
【対象と方法】当院呼吸器内科外来通院患者の中で,外来呼吸リハ加療の対象と考えられた患者22例(男性:15例,女性:7例)とした.そのうち外来呼吸リハ(週1回×3ヶ月間)を希望された群(参加群:10例)と希望されなかった群(不参加群:12例)の2群に大別して,年齢,重症度(厚生労働省特定疾患認定基準),呼吸困難の程度(mMRC,修正Borg Scale),通院時の付き添いの有無,HOT導入の有無,通院時間,自宅-当院間の直線距離,スパイログラム,運動耐容能(6分間歩行試験),St. George’s Respiratory Questionnaire,不安感(State Trait Anxiety Inventory Form)を比較検討した.
【結果】2群間で有意差を認めた項目は,通院時間,自宅-当院間の直線距離のみであった(p<0.05).その他の項目では有意差を認めなかった.
【考察】間質性肺炎患者の外来リハへの参加を阻害する因子として,通院時間,通院距離といった環境要因が影響していることが示唆された.
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鈴木 努, 八塩 ゆり子, 小山 智生, 小澤 聡子
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
96-100
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【目的】当院における市中肺炎(CAP)および医療介護関連肺炎(NHCAP)患者の総合的臨床兆候とリハビリテーション介入の効果について検討した.
【対象】2014年4月から2015年3月にかけて,肺炎の診断で入院しリハビリテーションを実施した176例を対象とした.
【方法】検討1はCAP群とNHCAP群の比較,検討2は過去2年間に誤嚥性肺炎の診断で再入院したCAP群とNHCAP群の比較,検討3はCAP群の中で再入院の有無で比較,検討4はNHCAP群の中で再入院の有無で比較とし,年齢,重症度判定,誤嚥性肺炎率,日常生活動作能力評価,退院先などを,診療録より後方視的に検討を行った.
【結果】CAP群に比較しNHCAP群では,年齢が高く自立度が低く全般に介助が必要な患者が多く,両群ともに半数以上が誤嚥性肺炎であった.再入院患者群は,再入院していない患者群と比べると,CAP群・NHCAP群ともに日常生活動作自立度が低値であり,特にNHCAP再入院群では日常生活動作自立度が低い傾向にあった.
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中井 晶子, 青木 康弘, 松田 智恵, 鈴木 雅文, 原 史郎, 須賀 達夫, 前野 敏孝, 倉林 正彦
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
101-107
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
気管支喘息は,気道炎症,気道過敏性の亢進,可逆性の気道閉塞を特徴とする慢性疾患である.気管支喘息の治療では気道炎症をコントロールすることが最も重要であり,標準治療として吸入ステロイド薬が用いられる.しかし気管支喘息患者の中には,病態理解が不十分なために,吸入ステロイド薬に対する誤った認識を持ち,自己判断で吸入を中止してしまう患者が存在する.当院では看護師が吸入指導を行うことにより,患者の病態に対する理解度,標準治療と治療継続の必要性に対する理解度の改善を認めた.また初回指導後6ヶ月~12ヶ月を経過すると,吸入アドヒアランスには問題なくても,気管支喘息理解度の低下が見られることから,定期的な吸入指導の継続が必要と考えられた.
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中田 秀一, 渡邉 陽介, 横山 仁志, 武市 梨絵, 星野 姿子, 堅田 紘頌, 松嶋 真哉
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
108-113
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【背景と目的】周術期患者における手術侵襲が身体機能に与える影響は大きい.その中でも術後身体機能に関する報告は散見されるが,術前身体機能に着目した報告は少ない.そこで,術前身体機能と術後経過の関係について明らかにすることとした.
【方法】対象は腹部外科手術患者56例とし,術後3日目の棟内歩行自立の可否で通常群,遅延群に分類し,術前身体機能(握力,等尺性膝伸展筋力,片脚立位時間,6分間歩行距離),術後1週時,退院時の術前移動能力への回復率と入院期間について比較した.
【結果】術前身体機能は通常群,遅延群の順に等尺性膝伸展筋力(0.52,0.43 kgf/kg),片脚立位時間(37.1,3.8秒),6分間歩行距離(422.6,290.0 m)で有意差を認めた(p<0.05).また,遅延群は術後1週時の回復率が有意に低く,入院期間も長期化する結果を認めた.
【結語】術前身体機能は術後移動能力の回復と関係し,術後経過に影響を及ぼす可能性が示された.
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近藤 友和, 水谷 元樹, 志津野 泰幸, 波戸岡 俊三, 重松 義紀
原稿種別: 原著
2016 年 26 巻 1 号 p.
114-118
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
肺切除術後患者において,歩行自立獲得が遅延した要因を検討した.当院で肺切除術を施行した114名を対象に,術後4日目までに歩行自立を獲得した患者98名を「順調群」,獲得できなかった患者16名を「遅延群」に分類した.後方視的に術前要因(年齢,BMI,%肺活量,1秒率,血清アルブミン値,肺疾患の有無,肺外疾患合併の有無,喫煙歴,屋外歩行の可否),手術要因(術式,手術時間,出血量),術後要因(胸腔ドレーン留置期間,硬膜外麻酔留置期間,合併症の有無,術後からの歩行開始日,6MD)に分類して比較検討した.「遅延群」では「順調群」と比較して,術前要因として有意に年齢が高く,屋外歩行を行っていなかった.術後要因では有意に合併症をきたし,歩行開始日が遅く,6MDが短かった.以上より,肺切除による手術要因自体の影響はみられず,高齢,術前からの屋外歩行非実施者,術後合併症による歩行開始の遅れにより,歩行自立が遅延したことが示唆された.
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岩井 宏治, 平岩 康之, 小島 弓佳, 前川 昭次, 川崎 拓
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 1 号 p.
122-124
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
滋賀県にある通所介護・リハビリ施設を対象にアンケート調査を実施し,NHCAPに対する認知度を調査した.対象481施設のうち,199施設より回答を得た(回答率41.4%).結果,施設全体のNHCAP認知度は,「0~30%未満」が74%と最も多かった.一方でサービス提供中の急変や症状の増悪は77%の施設で経験していた.利用者の不調を疑う所見としては,「発熱」や「呼吸困難」が多く,肺炎の初期症状を想定しているものと考えられた.NHCAPの予防について必要な対応としては,「口腔ケア」が71.9%と最も多かった.NHCAP予防における定期的な呼吸ケアの実施は,「全く実施できていない」,「わからない」を合わせると約半数,「若干の実施ができている」を加えると約8割の施設で適切な呼吸ケア対策が不十分であった.医師のみならず,看護師や理学療法士は,ソフト面改善の一翼を担うべき職種であり,地域での更なる多職種連携の必要性が示唆された.
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宇賀 大祐, 加藤 大悟, 遠藤 康裕, 中澤 理恵, 坂本 雅昭, 土橋 邦生, 笛木 真, 牧野 荘平
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 1 号 p.
125-128
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【目的】3ヶ月間の低頻度通院による呼吸リハビリテーション介入により,呼吸困難,下肢筋力,運動耐容能,ADL,QOLに対する効果があるのか否かを検証することを目的とした.
【対象と方法】通院頻度週1回未満の慢性呼吸器疾患患者16名に対し,コンディショニング,運動療法,日常生活動作指導を実施した.3ヶ月間の介入前後でMedical Research Council息切れスケール,等尺性膝関節伸展筋力,6分間歩行距離,The Nagasaki University Respiratory ADL questionnaire(NRADL),St. George’s Respiratory Questionnaireを測定し比較した.
【結果】全項目改善傾向であり,等尺性膝関節伸展筋力,NRADLには有意差が認められた(p<0.05).
【結語】本研究は対照群を設定しておらず,少数例での研究報告であり,確定的な結論は得られていない.しかし,慢性呼吸器疾患患者に対する呼吸リハビリテーションは,週1回未満の低頻度でも,注意深く通院時に十分な指導を行うことで,短期的効果が得られる項目もある.
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原田 洋明, 中尾 淳一, 高濱 みほ, 松田 眞弥, 楠 雄斗, 小倉 千明, 槙田 香子, 高松 理央, 坪川 典史, 山下 芳典
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 1 号 p.
129-134
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
フリー
【背景と目的】当院では肺切除予定患者に対して,術前待機期間に外来にて理学療法と強化栄養療法を併用する包括的呼吸リハビリテーションを,多職種相互関係チームアプローチにて実践してきた.今回,サルコペニアを背景とする患者に対する本法の有効性を評価した.
【対象と方法】2006年~2014年において肺癌に対する肺葉切除施行例のうち,「70歳以上で体重が標準体重の90%未満」であった33例を対象とし,本法施行群(11例)と非施行群(22例)で,術後合併症発生について比較した.
【結果】施行群の27.3%,非施行群の72.7%に術後合併症が認められた(p=0.024).多変量ロジスティック解析にて,本法は術後合併症発生率と有意に関連する独立した因子であった(p=0.049).
【まとめ】サルコペニアを背景とする肺切除患者において,本法は術後合併症発生率を減少させる臨床的に有用な取り組みである事が示唆された.
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田中 貴子, 神津 玲, 北川 知佳, 朝井 政治, 髻谷 満, 千住 秀明
原稿種別: 研究報告
2016 年 26 巻 1 号 p.
135-139
発行日: 2016/04/30
公開日: 2016/04/25
ジャーナル
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われわれは2013年から,韓国の医師や理学療法士など多職種に呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)の重要性を認識して頂くこと,さらに呼吸リハビリを実践できる理学療法士等の養成を主たる目的に学術交流を行ってきた.具体的な取り組みは,韓国内において呼吸リハビリの知識・技術を啓発・普及するためのセミナーを開催し,理学療法士のみならず,呼吸リハビリに関わる多職種の人材育成を行った.また,日本において,「国際呼吸リハビリテーションフォーラム」を主催し,日本と韓国の医療関係者の学術交流ならびに日本の呼吸リハビリ施設を見学する機会を設けた.その際,「呼吸リハビリを普及・定着するための方策」をテーマに討議の場を設け,韓国の医師,看護師,理学療法士など多職種間の連携構築を促した.これらによって,韓国での呼吸リハビリの課題や行動目標が明らかとなり,人材育成のための教育機関の必要性など具体的な取り組みが始まった.
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