日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
原著
低強度運動中の慢性閉塞性肺疾患に対する栄養補給介入の効果
―多施設共同前向き研究―
菅原 慶勇高橋 仁美笠井 千景柏倉 剛大山 久仁子山田 公子佐藤 綾己本間 光信津田 徹武田 博明河崎 雄司佐竹 將宏塩谷 隆信
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 26 巻 1 号 p. 57-63

詳細
抄録
【目的】抗炎症作用を示すホエイペプチド配合流動食摂取の有用性を,低強度運動を行っている安定期COPD患者で検証した.
【対象】2011年~2013年に,霧ヶ丘つだ病院,済生会山形済生病院,公立浜坂病院,市立秋田総合病院で,本試験の同意を得た36例を対象とした.
【方法】医療機関毎に,封筒法による単純無作為化で,ホエイペプチド配合流動食を摂取する群と,一般組成流動食を摂取する群の2群に割付け,12週間摂取した後で,試験介入前後に施行した諸評価の変化率を比較検討した.
【結果】両群間の変化率に有意差は認められず,栄養補給の介入効果を示すにとどまった.体重の変化率とhsCRPの変化率には有意な負の相関関係を認めた.
【考察】食事指導のみでは,摂取エネルギー量を増やすことが難しい,低強度の運動が日常可能な安定期COPD患者に対して,市販流動食を通常食に追加することの有用性は高く,栄養補給療法は,現状の医療環境下では有効な治療選択の一つであると考える.
著者関連情報
© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top