2016 年 26 巻 2 号 p. 145-149
現代の医療で酸素が使われない治療は考えられないが,酸素は発見から医療面への実用化までに約200年間かかった.病院だけでなく家庭でも使われるようになるまでさらに40年間を要し,その後,在宅酸素療法が医療保険の採用となって30年が経過した.長期酸素療法はわが国では在宅酸素療法として新たに独自の発展をとげた.自宅で酸素療法を実施する目的は,安全で医療的な視点での効果があり,患者のQOLを高めるものでなくてはならない.包括的呼吸リハビリテーションは,酸素療法を補完する治療コンセプトである.在宅酸素療法の発展により,チーム医療の発達,医療連携の推進など派生的な効果は,同療法が在宅医療の新しい牽引力となっていることを示唆する.