COPD患者の全身併存症の一つに,筋肉障害がある.COPD患者の筋肉障害には,筋萎縮,Ⅰ型筋線維(遅筋)の比率の低下とⅡ型筋線維の比率の増加,ミトコンドリアの量や酵素活性の低下,筋力低下などがある.これらの変化は,上肢筋より下肢筋に顕著に認められ,筋力低下,筋持久力の低下,運動耐性の低下をもたらし,患者の予後にも関係する.筋肉異常の原因は,不活動だけではなく,他の要因(炎症,低酸素,酸化ストレス,低栄養,等)も関係していると考えられている.筋力低下や筋萎縮に対しては,リハビリテーションとして運動療法や筋電気刺激が施行され,加えて,様々な栄養補給が試みられている.我々は,COPD患者の筋肉代謝と血漿分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度が関連することを報告しており,運動前のBCAA補給による筋肉代謝への効果についても紹介する.