2016 年 26 巻 2 号 p. 341-344
新生児を対象とする理学療法では,発達を促すためにポジショニングが行われているが,呼吸機能に着目した報告は少ない.そこで,退院後の肺炎予防を含めた視点から,呼吸指導を家族に対して実施しえた一例を経験したので報告する.症例は常位胎盤早期剥離により帝王切開で33週2日目に出産された重症新生児仮死の児.Apgarスコアは1分値1点,5分値1点.嚥下機能障害を認め唾液の嚥下は不可能,持続吸引を要していた.頸部・体幹の伸筋群に筋緊張の亢進が認められた.リハビリテーション介入の過程で,ご家族に児の写真とポジショニングの留意点を記載したパンフレットと,誤嚥性肺炎に対する対策資料を作成し,身体機能と疾患に対する知識の提供を行った.さらに,両親への介入効果に関して,病棟看護師と連携して,ケアの理解が促されているかどうかを確認することで,理学療法士も退院後の生活を安定して行う一助になりうることが示唆された.