日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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症例報告
サルコペニアが疑われる呼吸不全例に対し外来で運動療法と栄養療法を実施した一例
中村 康一板倉 潮人髙木 聡小林 和陽齋藤 浩子月岡 悦子山口 貴子野口 周作加藤 和久臼杵 二郎
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2016 年 26 巻 2 号 p. 345-348

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抄録

栄養失調とサルコペニアを伴う高齢者に対し,運動療法と栄養療法によるマネジメントの必要性が言われている.66歳男性,肺腺癌のため右肺全摘出後,外来通院していた.混合性換気障害と呼吸器症状が進行し,体重減少および身体活動性の低下を認めるようになったが入院を拒否.サルコペニアが疑われ外来で栄養士と看護師が介入し,栄養状態は改善した.しかし自覚症状は改善せず,理学療法士が介入を開始した.4ヶ月間の介入によりAMC(19.9→20.9 cm),MIP(31→68 cmH2O),握力(20→22 kg),CAT(12→9点)と筋力およびCATの改善を認めた.今回,入院が困難なCOPD症例に対し,外来で多職種が介入することで全身状態を改善させ,入院を回避することができた.栄養失調を伴うサルコペニアが疑われるCOPDに対する,外来における栄養および運動療法の有用性が示された一例と考えられる.

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© 2016 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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