【目的】呼吸器疾患患者の要介護度が適切に審査されているか検討すること.
【方法】当施設を利用中の呼吸器疾患患者を対象に包括的ADL,疾患特異的ADL,呼吸困難,酸素流量を評価し,要介護度との相関関係を分析した.また,要介護1と判定された患者の中で,呼吸器疾患患者と他疾患患者の間で身体活動量に違いがあるか比較検討した.
【結果】包括的ADLは要介護度との相関関係が認められたが,疾患特異的ADL,呼吸困難,酸素流量と要介護度に相関関係は認められなかった.また,同じ要介護1でも呼吸器疾患患者は他疾患患者に比べ歩数が有意に低下していた.
【結語】呼吸器疾患患者は呼吸困難のためにADLやIADLが制限される.しかし,そういったADLの低下は要介護認定調査には反映されず,動作そのものは自立できることが多いため,要介護度が過小評価される.そこで,呼吸器疾患の特徴を理解し,適切な要介護認定につなげられるようなアプローチが必要である.