日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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症例報告
High Flow Nasal Cannulaを在宅導入し長期の生活維持に成功した重症COPD患者の一例
礒 千聡井原 晶子鈴木 亜美三藤 雄介中川 諒林 涼小池 康子新 智美新 謙一
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2018 年 27 巻 2 号 p. 202-205

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抄録

77歳の重症慢性閉塞性肺疾患患者に対し,日常生活動作の呼吸困難軽減を目的に在宅にてHigh Flow Nasal Cannula(以下HFNC)を導入した.呼吸困難を伴う食事・入浴の際に使用し,SpO2の改善を認めた.継続使用における問題点として,機器運搬の煩雑さやカニューレのずれがあった.対策として小型の機種に変更し,延長回路を導入した.また,カニューレの固定性を高める為に,持続陽圧人工呼吸療法用ヘッドギアを併用した.HFNC導入4ヶ月後に悪性リンパ腫を併発し,その3ヵ月後に非侵襲的陽圧人工呼吸療法(以下NPPV)へ移行し,その後永眠した.HFNC期間中は体重を維持し,楽しみである入浴が可能な生活を継続できた.本症例より在宅でも安全なHFNC導入は可能であり,NPPV移行までの呼吸サポートとしての有用性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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