2018 年 27 巻 3 号 p. 342-348
【目的】慢性閉塞性肺疾患(COPD)において,呼吸リハビリテーションに吸気筋トレーニング(IMT)を追加することにより運動耐容能が向上した症例と向上に乏しい症例の特徴を比較すること.
【方法】IMTを3ヶ月以上実施した安定期COPD患者25名を6分間歩行距離(6MWD)の増加量により運動耐容能向上群(IG)と非向上群(SG)の2群に後方視的に分けた.IMT開始前後に最大吸気口腔内圧(PImax),大腿四頭筋筋力を測定,6分間歩行試験(6MWT)を実施し,測定値の差を比較した.
【結果】IGではSGと比較して,平均年齢が低く,IMT開始前の大腿四頭筋筋力が高く,6MWT後の呼吸困難が強かった.また,IMT期間前後のPImax,6MWT後の呼吸困難の改善量が大きかった.
【結論】IMTを追加併用することで運動耐容能の向上が期待される症例の特徴を示した.IMTを推奨するエビデンスレベルは高くないが,適応症例を検討することで有効なトレーニングになると考える.