2018 年 27 巻 3 号 p. 349-352
【目的】吸気筋トレーニング(IMT)の一種である吸気抵抗負荷呼吸において,負荷圧の違いによる呼吸筋活動の特性を明らかにすること.
【方法】健常若年男性20名に,最大吸気口腔内圧(PImax)の0%(無負荷),20%,40%,60%,80%の各負荷圧で吸気抵抗負荷呼吸を実施させた.その際に,横隔膜の筋厚変化率(∆Tdi%)を超音波画像診断装置,肋間筋と胸鎖乳突筋の筋活動を表面筋電図にて測定した.筋活動は,最大等尺性収縮の交流実効値に対する百分率(%MVC)を算出した.
【結果】∆Tdi%は,PImaxの40%の負荷で最も高値となり,60%以上の負荷では有意に減少した.肋間筋と胸鎖乳突筋の%MVCは,負荷圧の増加に伴って増大する傾向がみられた.
【結論】吸気抵抗負荷呼吸法にてIMTを施行する際に,横隔膜のトレーニングを主目的にする場合は,∆Tdi%が最も高値となる40%PImax前後の負荷圧が適し,60%PImax以上の負荷圧では努力吸気筋優位のトレーニングとなることが示唆された.