背景:慢性閉塞性肺疾患(COPD)において在宅酸素療法の施行は,生活を強制的に変容させる出来事である.在宅酸素療法の施行が精神面に与える影響を,患者の認知する病気の不確かさの指標を用いて検証した.
方法:非増悪期COPD患者98名を対象に属性及び療養の場を問わず使用できる病気の不確かさ尺度(UUIS,26項目6下位尺度,高値ほど不確かさが高い)を調査し,在宅酸素施行症例と非施行症例を比較した.
結果:在宅酸素療法施行群におけるUUISの総得点(98.4±19.1)は,非施行群(81.7±22.4)より高値であった.重回帰分析の結果,在宅酸素療法の施行は,修正MRCスコアで評価した呼吸困難の程度や過去1年間の増悪歴,喫煙指数とは独立してUUISの下位尺度である【病気回復予測不能性】の上昇に関与していた.
考察:在宅酸素療法の施行は,回復が見通せないという【病気回復予測不能性】の不確かさの認知に影響を与えており,生活の変化に適応するための心身の援助が必要と考えられる.