2019 年 28 巻 2 号 p. 342-348
【目的】心不全の入院期に行う吸気筋トレーニング(IMT)の効果と安全性を検討すること.
【方法】入院期心不全患者24名を,最大吸気口腔内圧(PImax)の40%でIMTを行うIMT群(13名)と,プラセボ群(11名)に分類した.IMTは30回2セットを2週間継続した.実施前後にPImax,6分間歩行距離,およびその前後の呼吸困難感(Borg Scale),膝伸展筋力を測定した.体重,EF,CTR,BNPの推移も確認した.IMT中には心電図モニタリングを行った.各測定値の差は,分割プロットデザインによる分散分析,またはMann-WhitneyのU検定にて検討した.
【結果】PImax(P<0.05)で有意な交互作用がみられ,Borg Scaleは,IMT群で有意な低下がみられた(P<0.05).両群で2名,IMT中に期外収縮の出現,頻度増加を認めたが,心不全増悪は見られなかった.
【結論】入院期心不全患者に行うIMTは安全に施行可能であり,吸気筋力の向上,労作時の呼吸苦を軽減する効果があると考えられる.