2020 年 28 巻 3 号 p. 412-416
【目的】漸増シャトルウォーキングテスト(incremental shuttle walking test:以下ISWT)は高齢者の運動耐容能評価にも適用できるが,最高歩行速度への到達が制限因子となり,特に女性健常高齢者の運動耐容能を過小評価している可能性がある.そこで本研究では,ISWTに走行を許可した漸増シャトルウォーク・ランテスト(incremental shuttle walk and run test:以下ISWRT)とISWTの試験結果および呼吸循環反応を比較して,ISWTが女性健常高齢者の運動耐容能として適用できるか否かを検討した.
【方法】女性健常高齢者8名を対象にISWTとISWRTをランダムな順序で行い,各テストの総移動距離および呼吸循環反応を比較検討した.
【結果】総移動距離および呼吸循環反応は,ISWTとISWRTとの間に有意差を認めなかった.最高酸素摂取量と総移動距離との間には強い相関(ISWT: r=0.74,ISWRT: r=0.80)を認めた.
【結論】ISWTは十分な運動負荷を与えることができ,女性健常高齢者の運動耐容能評価としてその適用を支持する一つの根拠となると考える.