2020 年 29 巻 1 号 p. 24-27
セルフマネジメントとは,慢性疾患患者が病気とともに生活するための日々の仕事や務めであり,治療や病気に応じた療養法を適切に続けること,日常の活動や役割を保つこと,治療や療養により生じる様々な感情と付き合うことが含まれる.慢性呼吸器疾患患者の場合,疾患の進行や息切れの増強に応じて,吸入薬による治療に加えて呼吸リハビリテーション,在宅酸素療法などの治療や療養法を適切に毎日行い,普段の役割や活動の維持,感情の調整が必要とされるが,実際には難しいことも多い.例えば,在宅酸素療法を行う患者が実際の生活では酸素を処方通りに使用していないといった状況は少なくない.患者がセルフマネジメントを継続していくことを支えるためには,患者個々の病気や生活の体験を十分に理解し,その人の目指す生活のあり方を捉えた上で具体的なマネジメント法を話し合う等の細やかな支援が重要である.